編集にふける  

 しばらくのご無沙汰でした。この間、たてつづけに編集作業に精出すことがかさなってしまい、生来の不精もいきおい顔をのぞかせ、ついぞ執筆がお留守になってしまいました。

 その編集作業は、つづけざまに三つありました。

 ひとつは、某映像講座の受講生の編集実習が、当人のおもいどおりに進展をみない状況にあったのを、ほぼ同じ素材・同じ構成順位で、テーマ的にも同一性を踏襲しながら、その素材ショットのなかからカットをセレクトし、そのカット映像をさまざまに加工しながらひとつの編集実例をつくる作業でした。時間をあまりかけなかったということも手伝って、これといってよいできばえの見本には仕上がりませんでした。とはいえ、いくばくかは、その参考に供しえるものとなったこととは信じております。

 それにしても、パーソナルな映像視覚をパーソナルな視界から構成しようとする、わたしたちの映像作品の場合、他人の撮影したショットの編集は、やはりむつかしいものがあります。自分の心象を投影した映像は、自分の心象記憶とその映像対象化の現実的あらわれかたとを客観的に把握し、その差異と連関との自覚化のなかで、テーマの浮上をたぐりよせることも、また深く可能ならしめるものです。が、ここでは、それをなりたたせる条件は不足していました。テーマもまた、まったく当人のものから遠くはなれたものとすることはできませんでしたし、その必然を素材のうちに見いだすこともできませんでした。

 いまひとつは、10月に知り合いの和太鼓演奏者たちの公演を記録撮影したビデオがあり、それを記録作品としてまとめあげる作業でした。しかし撮影後、いまひとつ気乗りが起こらず、ほったらかしのままにしておいたものでした。とはいうものの、どうにかしなければならない時期が逼迫し、上記の編集作業終焉時に気持のはずみをつけ、一気に編集にとりかかりました。

 そして、なんとかリハーサルと本番とを切り分けた二部構成・一時間半弱のものにまとめあげました。さらに、時系列な記録でない、映像構成的な視点からの40分弱の音楽ビデオ作品を制作し、かつ7分程度のプロモーションビデオもおまけにつくりあげました。これは以前から別バージョンで依頼されていたものでしたが、今回の公演の記録をもとに、その記録素材の限界のなかでは、それなりに気持ちよくまとめあげることができました。ただ編集後に、パソコンがとてつもなく不調に陥り、レンダリングがどうにもうまくゆかず、それがひときわ大変な作業となってしまいました。作業のやりなおしやりなおしが続きに続き、ほとほと手を焼きました。当人たちはそんなことは露知らず、いまウクライナに演奏ツアー中です。

 最後のひとつは、某インディーズ出版の企画イベントに映像参画をたのまれ、その新作をつくりあげる編集作業でした。既存作品の出品にOKは出していたのですが、その宣伝チラシに新作と記載されてあったため、自分の言でないとはいえ、極力看板にいつわりなきを期し、急遽既存の撮影ショットのなかから素材カットをセレクトし、新作をまとめあげたものでした。コンセプトは、5カットで構成した小品をいくつかつくりあげ、映像小品集として提出しようというものでした。

 なんとかイベント当日までに七作品をつくりあげ、上映に間にあわせることができました。イベント後、さらに三作品を増加し、さきほど十作品のワンパッケージものに仕上げたところです。構想のなかではこの企画は、やがて百作品・十パッケージ分割したものに仕上げたいと、いま現在、おもいをいだいている途上です。