「厄除け詩集」より 

勸  酒   于武陵


勸 君 金 屈 巵

滿 酌 不 須 辭

花 發 多 風 雨

人 生 足 別 離


  コノサカヅキヲ受ケテクレ

  ドウゾナミナミツガシテオクレ

  ハナニアラシノタトエモアルゾ

  「サヨナラ」ダケガ人生ダ




 井伏鱒二の『厄除け詩集』の名訳です。

 ここまでいけば、ほとんど創作と変わりありません。

 じつに、しみじみと心に沁み込む詩文です。

 情景が、さぁーっと頭に浮かんでくる。酒を酌み交わす両者の心情が、ひしひしと伝達されてきます。主観的な語り口調が素晴らしい。そしてカタカナが効果的。「ゾ」の切り落としの凄み。

 何度読んでも、感銘をあらたにさせられます。
 
 ああー、そういう映像が創りてえ。