鑑賞表現としての発展 

 鑑賞表現としての映像表現の発展は、劇映画の発展にその多くを負うています。それはある面当然のことといわなければなりません。

 劇は、人間の創造的現実表現のひとつです。劇映画は、その現実を映画的なものとして創出しつつ記録していきます。

 その仕上がりを事前に頭のなかに思い描き、その現実化のプランをきっちりと踏まえたうえで撮影に取りかかることが可能です。

 カメラまえに生じるできごとを撮影都合にあわせて創造し、その動きや光景の感性的ありかたを撮影にあわせてコントロールすることができます。当然、質の高い映像が、ショットとしても、また複雑な構成をもつ表現態としても作品化することができ、それを仕上げる可能性を高くもつことになります。

 さらに劇的構成そのものが、人間にとって、その光景をストーリー的世界のできごととして把握させ、創造世界のなかへと容易に導入させやすくさせもします。

 かくして、劇映画的な表現のありかたが、映像表現の表現的発展を牽引することとなりました。