2005-01-01から1年間の記事一覧

見ることの位相 

「見る」にまつわる単語は多くあります。パソコンの辞書機能で引き出すと、見る・観る・視る・看る、という風に拾い出すことができます。 「見る」とは、平凡な肉眼への反映範囲とみなしておくとしましょうか。 「観る」となると、観察的な意識で対象をとら…

「厄除け詩集」より 

勸 酒 于武陵 勸 君 金 屈 巵 滿 酌 不 須 辭 花 發 多 風 雨 人 生 足 別 離 コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトエモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ 井伏鱒二の『厄除け詩集』の名訳です。 ここまでいけば、ほと…

問いかけ方の大事 

映画とはなにか。 この問いかけには大きな落とし穴があります。 現在の発展形態において体験している映画作品をベースにして、映画の表現性を恣意的に概念化してしまう自分に、無自覚かつ無反省になりがちだからです。 感動体験の印象にひきずられるあまり、…

鑑賞表現としての発展 

鑑賞表現としての映像表現の発展は、劇映画の発展にその多くを負うています。それはある面当然のことといわなければなりません。 劇は、人間の創造的現実表現のひとつです。劇映画は、その現実を映画的なものとして創出しつつ記録していきます。 その仕上が…

映像表現の世界 

映像表現と一口にいっても、じつに幅広い世界です。 監視モニターに映し出される、なんら手が入ることのない素(す)の映像も、特定場の視覚性を即時的に別の場所に移行させて体験させるという感覚場移動を実現した、人間表現の実用的なありかたのひとつである…